三菱重工 泉沢社長の「タナボタ経営」

社内評は「何もやらない守りの人」。それなのにこの1年で株価は2倍。運だけは強い。

2023年4月号 BUSINESS

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2月7日、三菱重工業は国産初のジェット旅客機「スペースジェット(旧MRJ)」の開発中止を発表した。「YS11」以来、約半世紀ぶりとなった国産旅客機開発がとん挫した。もっとも同日、記者会見を開いた社長の泉沢清次は「特定の誰かに原因があるとは考えていない。その点は取締役会でもきちんと議論した」と語った。

とにかく「守りの人」

2019年4月に社長に就任した泉沢にとって、経営圧迫の原因となっていたスペースジェット事業からは撤退するしか道はなかった。とはいえ国から500億円もの税金が投入された「国家プロジェクト」。責任問題が浮上してもおかしくないが、誰も悪くないと言い切った。「撤退を決断したことで、社長自身は会社の危機を救ったと思っている」と中堅社員は指摘する。泉沢の頭の中に責任の文字がないのには理由がある。事業化が決まったのは08年。当初は13年の初号機導入を目指したが検査の不備や設 ………

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