融資銀行団も怖気づく利益相反の塊。「奉加帳方式」の出資スキームは腐臭を放ちながら破局を迎えようとしている。
2023年1月号 BUSINESS [利益相反の塊]
12月5日午後1時、東芝社長の島田太郎と副社長の柳瀬悟郎は、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ銀行4行の営業や審査担当者らと向き合った。同社買収を提案している国内ファンド、日本産業パートナーズ(JIP)に対する融資判断のために開かれたバンクミーティングである。柳瀬は海外出張先からのオンライン参加だった。銀行団は東芝とJIPに対して再三、非上場化後の再建計画や返済計画などを求めてきたが、確たる中身が出てこないため、首脳陣による直接の説明を要求。ようやく実現した会議だった。だが、改めて非上場化後の絵姿や意義、巨額融資返済の見通しなどを問われた島田は「デジタル事業など、やりたいことが見えてきた」などと夢物語を語ることに終始し、銀行団を失望させた。報告を受けたある銀行役員は「発言が緩すぎて話にならない……」と怒りを滲ませた。甲南大学を卒業後 ………
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