防衛省きっての一言居士。「獅子身中の参与」が、政権基盤を維持するための人質になる奇妙な構図。
2022年12月号 POLITICS
首相官邸が「参与の乱」に揺れている。発端は、内閣官房参与を務める島田和久前防衛事務次官の寄稿だった。「ちょっと待ってほしい」「議論をすり替えてはならない」「海保の予算を防衛費だとして上乗せするのでは、『水増し』とのそしりを受けないだろうか」島田氏が10月22日付『産経新聞』に寄せた一文には、政権批判ともとれる文言が続いた。標的は、岸田文雄首相が掲げる防衛力の抜本的強化に向け、年末に向けて作業が進んでいる「国家安全保障戦略」など安全保障3文書の改定だ。岸田内閣は、海上保安庁予算やインフラ整備費、研究開発予算を「国防費」に組み込む方針だ。政府・与党内では、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求める国内総生産(GDP)比2%を達成するため、防衛費を「水増し」するものとみなされた。
島田氏はこの方針を痛烈に批判した。防衛省きっての「一言居士」として知られ ………
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