スペースジェット“凍結” /三菱重工の誇りとジレンマ

事実上の中止だが、合言葉は「立ち止まっただけ」。歴代トップへの気兼ねか、国への責任波及を恐れたか。皮肉にも凍結で業績は好調だ。

2022年11月号 BUSINESS [半世紀ぶり国産旅客機 夢幻]

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三菱重工業の業績が好調だ。どうやら、お荷物だった不採算事業を中期経営計画(2021~23年度)で凍結したことが大きかった。いわずもがな、小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット」(MSJ、旧MRJ)の開発だ。華々しい「国産初」の冠と共にスリーダイヤの技術と資金とプライドを10年以上も注ぎ込んできたが、世界の空ははるかに高かった。ところが、三菱重工は公式には「いったん立ち止まる」(泉澤清次社長)として、事実上の事業失敗を認めない。そこには「国策企業」ゆえのジレンマが見え隠れする。「関係者はほっとしている。残念ではあるが、もう待てなかった。夢の『日の丸ジェット』はこのまま、夢のままに終わるのではないか」。ANAホールディングスの幹部社員が苦笑しながら内心を吐露した。三菱重工が子会社の三菱航空機を設立し、MSJの開発が本格化したのは08年。ANAはローンチカスタマー ………

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