廃止10年がかり「赤字ローカル線」

誰も使わない鉄路の廃止に、不毛な条件交渉が起きる。時間空費に誰も責任を取らない。

2022年9月号 BUSINESS

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ディーゼル車両1両で運行するJR北海道の留萌線。日本海側にある終着駅、留萌駅は1日のうち、ほとんどの時間を静寂が支配する。この駅に入る列車は上下それぞれわずか7本。朝夕以外の日中はほとんど駅に人影をみることはない。

完全な廃止に10年がかり

留萌線は1キロあたりの平均輸送人員を示す輸送密度がわずか90人しかいない。100円を稼ぐために必要な費用は2183円にのぼる、典型的な赤字ローカル線だ。JR北海道が留萌線の二段階での廃止を沿線自治体に正式に提案したのは7月21日。留萌駅は2023年3月末に廃止されるが、地元自治体の強い意向から、一部線区は26年3月末まで存続することになった。鉄道事業の営業赤字が常態化しているJR北海道が留萌線を含む赤字ローカル線区間の廃止・バス転換を求めたのは16年11月のことだった。留萌線は最後まで残る廃止相当区間だ。JR北海道の赤字体質は凄まじい。21年度の鉄道事業の売上 ………

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