宝飾品「ナガホリ」仕手戦に潜む厄介な顔ぶれ

6月29日の株主総会を控え、元警視総監の米村敏明氏を 顧問に迎え入れ、強力な用心棒を立てた恰好だ。

2022年7月号 BUSINESS

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ナガホリの長堀慶太社長

物騒な話だ。東京・上野の宝飾品会社ナガホリは6月1日付で元警視総監の米村敏朗氏を顧問に迎え入れた。10年目の結婚記念日を祝う「スイートテン・ダイヤモンド」の商標権を持つ同社は目下、仕手筋による激しい買い占めに遭っており、強力な用心棒を立てた形である。

同社株の買い占めが明らかになったのは4月5日。都内の布山高士氏なる人物が大量保有報告書を提出したのだ。買い占めは2月中旬から進んでいた。続く提出の動きは同月14日。こんどは「リ・ジェネレーション」なる東京・芝の会社だ。本来の報告義務日は3月28日だから、かなり遅れての提出だった。両者の関係性は必ずしも判然としないが、すでに3月末の時点で議決権所有割合は、リ・ジェネ社が約9・4%、布山氏も約7.5%にそれぞれ達していた。

さて、彼らは一体何者なのか。

布山氏は11年前、不振上場会社、日本産業ホールディングスの社長に突如就任した人物だ。とはいえ、直後に同社は上場廃止。その後、同氏は上場会社から遠のくが、昨年秋に唐突に再登場。自らの不動産会社「NC MAX WORLD」の持ち分49%を、アジアゲートホールディングスに約31億円の高値で売却したのである。アジアゲートは中国・香港市場から締め出され日本に流れ着いた北京大学系企業集団の元幹部、許振東氏の関与が近年囁かれる会社だ。

他方、リ・ジェネ社の代表取締役である尾端友成氏は昨年11月、これまた経営混迷中のアサヒ衛陶の経営陣に解任要求を突き付け、自ら社長に就任したことで知られる。もっとも、こちらもわずか2カ月で辞任だ。さらに興味深いのはリ・ジェネ社の来歴である。現在の社名や住所、さらに尾端氏の代表就任は買い占め開始の直前で、それまでは「イノプライズ」、さらに遡れば「N&Mマネージメント」との社名で本店も赤坂だった。

このN&M社は11年前、突如として不振上場会社の筆頭株主に躍り出ている。シスウェーブがそれで、その後、同社の迷走は深まり、4年前には上場廃止に至った。同社は粉飾決算に手を染めており、元社長ら3人がその後、有罪判決を受けている。

もっとも、元社長らは黒幕に操られるだけの存在だった可能性が高い。じつは、N&M社やその親会社「共和キャピタル」について、複数の民事裁判でその正体が明らかにされている。実質支配者は大場武生氏だというのだ。過去に大盛工業株を巡る風説の流布事件で実刑判決を受けるなどした札付きのブローカーである。

注目すべきことに、前出のアジアゲートを巡っても昨年7月に大場氏の関与があったとの情報がある。不動産会社買収とセットで大規模増資を行うことを持ち掛けていたという。それとの関係は不明だが、その後、アジアゲートは布山氏の会社を買収、今年1月には約40億円の増資を実行した。なぜか増資株はすぐに転売されたが、取得したのは尾端氏が別に経営する「プラスワンホールディングス」や、リ・ジェネ社に買い占め資金を提供した合同会社「STAND UP GROUP」の関係者らだった。

こう見ると、買い占め劇の中心には大場氏が潜んでいるようにも映る(公開質問に対し少なくともリ・ジェネ社は関係を否定)。ナガホリ側は密接な関係にあると疑われる個人・法人による買い付けも含めれば直近の所有割合は3割超にも上るとする。狙いは本社裏手の土地とも囁かれる。その土地を巡り昨年11月、布山氏と近い不動産会社が接触を図っていたとの事実があるためだ。ナガホリは6月29日の株主総会に買収防衛策導入を諮る予定。その帰趨が注目される。

   

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