財政再建や防衛費をめぐる攻防により、党内には深い亀裂が幾重にも。参院選後には内閣改造を控え、日銀総裁人事も本格化する
2022年7月号 POLITICS [永田町の「暗闘」]
2021年夏に猛威を振るった新型コロナウイルス「デルタ株」が、もし1カ月早く収束していたらどうなっていただろうか。内閣支持率と新型コロナ感染者数は逆相関関係にある。東京五輪パラリンピックの盛り上がりと相まって、3割台にまで低迷していた内閣支持率は8月上旬には回復基調に転じたはずだ。そうなると自民党で「菅降ろし」は起きず、首相(当時)の菅義偉は党総裁に再選されて首相続投を決め、秋の衆院選で少なくとも自民、公明両党で過半数を得ただろう。11月初旬、日本には4800万人分の新型コロナ用ワクチンの在庫があった。ワクチンを新型コロナ対策の要と位置づける菅義偉ならば、変異した「オミクロン株」による第6波に備え、医療関係者に対する3回目のブースト接種を加速させるよう大号令を出したに違いない。夏と同様に1日100万人の接種を実現していれば、年内に高齢者のブースト接種はほ ………
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