連載 病める世相の心療内科

駅前の「守り神」追い出す嫌な世相

2022年6月号 LIFE [病める世相の心療内科 (65)]

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私が乗り降りする最寄り駅は都心より少し離れた農村部の入り口に位置する。それでも一日の乗降客はおそらく4~5万人いるだろう。改札を出て西側のロータリーに降りる階段の中央に一人のホームレスがいた。私が移り住んでから30年以上になるが、その時すでに彼はいた。当時は20歳中ごろかと思えたから今は50歳中ごろだろう。かなりの乗降客が行き交う、吹きさらしのその場所に冬も夏もそして夜も、居続けていた。もう少し平らで段ボールで風除けも作れて、ゆったりできる場所は駅周辺にたくさんあるはずだが、居場所を変えることはなかった。ジョン・レノンに似た長髪で端正な顔立ちにトンボ眼鏡をしていたが、ある日、眼鏡のレンズが割れ、目の周りが紫色をしていた。おそらく殴られたのであろう。そのうちメガネは彼の顔からなくなったが、彼はそこに居続けた。ホームレスを狙う無慈悲な輩から、襲われ ………

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