特別寄稿 「狂信と平和ボケ」の財務省/評論家・中野剛志

安全保障と財政健全化とは相容れない。「財政再建の旗」を掲げ続ければ、日本はいずれ間違いなく「白旗」を揚げることになる。

2022年6月号 BUSINESS [愚かな悪循環]

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ロシアによるウクライナ侵攻によって、日本人も泰平の眠りから覚め、東アジアの周辺国(特に中国)の脅威を意識し始めた。自由民主党は四月末に「NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、わが国も、5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指すこととする」と明記した提言(*1 https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/203401_1.pdf)をまとめた。ここで問題となるのは、またしても財政である。改めて確認すべき財政の基本は、「(変動相場制の下で)自国通貨建ての国債が債務不履行に陥ることは、その国家に返済の意志がある限りはあり得ない」ということである。この点を強調するMMT(現代貨幣理論)が最近話題となっているが、この主張自体はMMTに固有のものではない。例えば、バーゼル規制(バーゼル銀行監督委員会が公表してい ………

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