自分のカネと会社のカネが不分明な「どんぶり勘定」のなかで生まれた世界有数のコレクター。
2022年5月号 DEEP
「エッグ・キング」と呼ばれ、国内鶏卵市場の1割を握り、世界の美術品収集家にその名を知られた伊勢彦信は、これまでの92年の人生でどれだけの富を築いたのか――。イセ食品グループは、200 0年3月、約50行の金融機関にリスケ(返済条件の変更)を要請。その際、金融機関が最も気にしたのは、オーナーである伊勢とグループ会社との貸し借り及びその資産状況だった。そのため弁護士事務所が調査に入り、20年7月にまとめた報告書によると、資産関係は以下のようなものだった。▽不動産は地元・富山県高岡市の家屋敷と東京の高層マンションその他で約5億円。▽有価証券はイセ食品グループと再生エネルギー関連会社、アート関連会社などへの出資を合わせて約26億円。▽現預金、投資信託、関連企業などへの貸付金を合わせて約22億円。▽美術品が約130億円。伊勢は、鶏の育種・改良事業に数々の足跡を残した父・多一 ………
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