特別寄稿/「恐怖の均衡」米露中の「核戦略」/2 等海佐 後瀉桂太郎

国家の究極的な力=核兵器と核抑止にまつわる冷厳な現実を見ずに、現代の安全保障や軍事を理解し、生き残ることはできない。

2022年4月号 POLITICS [バランス・オブ・テラー]

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ロシアによるウクライナへの侵攻は、グローバル化と経済相互依存が進む現在の国際社会においても、引き続き軍事力がいかに大きな存在であるのか、ということを知らしめた。32年前、1989年12月の「マルタ会談」でジョージ・H・W・ブッシュ米大統領とゴルバチョフソ連書記長は冷戦の終結を宣言した。当時広く「リベラルデモクラシーの勝利」あるいは「平和の配当」といった言葉とともに、国際社会で国家間対立は後背に下がり、国境を越えた協調的な世界に移っていくのではないか、という希望的な世界観が語られた。しかし、世界がポスト冷戦期のアメリカ一極構造、そして現在の「大国間競争」へと変化する過程で、国家主権を担保する軍事力はその意義と重要性を失うことはなかった。近年、日本では安全保障に関して活発に議論されているが、それは軍事に加え先端技術開発や情報通信インフラの保護といった ………

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