キリン凋落「振り向けばサッポロ」

ミャンマー、中国、ブラジル……。大損を出しながら海外撤退相次ぐ。「業界の盟主」は昔話。

2022年4月号 BUSINESS

  • はてなブックマークに追加

「弱り目に祟り目」とはまさにこのことだ。海外事業からの撤退が次々に明らかになったキリンホールディングスの経営が揺れている。社長の磯崎功典が8年目という異例の長期政権を敷く一方、かつてのビール業界の盟主としての威光は微塵もなくなっている。

2千億円以上の「授業料」

直近で最も衝撃的だったのは、2月に方針が打ち出されたミャンマーからの撤退だろう。磯崎の肝煎りで2015年に現地最大手のミャンマー・ブルワリーを700億円で買収したが、全保有株を6月末までに手放す。利益貢献度も高いミャンマー事業だったが、国軍のクーデターによる大混乱の中、「ラストフロンティア」の開拓は露と消えた。ミャンマーについては政変リスクを完全に予測することが難しかった点も含め、同情の余地はある。しかし他のケースはキリンの海外戦略の拙さを証明した案件ばかりだ。2月にはこのほか、11年から手がけていた中国飲料大手、 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。