「新しい資本主義」のタマ込め屋「新原浩朗」

「便利な政策マン」を重用するのはいいが、頼りすぎて打ち出す政策に新味がなくなっている。

2022年3月号 POLITICS

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岸田文雄政権が打ち出した政策の理念といえば「新しい資本主義」だ。岸田は政権発足当初からこの言葉を多用し、首相直轄で新政策を検討する「新しい資本主義実現会議」を創設した。この会議の事務局を実質的に主導し、目玉政策の具体策(タマ込め)を任されたのが経済産業省出身の新原浩朗・内閣審議官(62、1984年通商産業省入省)だ。安倍晋三政権で重用されたが、菅義偉政権で冷や飯を食わされ、岸田政権で再び浮上した異能の政策マンである。

「なんだ、新原の下書きか」

「おい、あれはどうなってる」「あの省の幹部に連絡して」首相官邸の向かいに建つ内閣府本府庁舎の2階、新会議の事務局が入るフロアの一角から大声が聞こえてくる。やれやれと対応に走る部下たち。声の主は新原。還暦過ぎてなお衰えを知らぬ猛烈な仕事ぶりだ。2月にも本格的に稼働する新会議の下準備に余念がない。新味のある政策を打ち出し、6月に策定す ………

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