連載 病める世相の心療内科

得体の知れない隣人に募る不安

2022年3月号 LIFE [病める世相の心療内科(62)]

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やや遡るが、小綺麗なマンションに住む80歳ぐらいの女性が、睡眠不足を訴えて、やってきた。上の階の住人が毎晩、夜の11時頃に妙な音を立て、それが天井から響いてくる。それで目がさえてしまうという。上には高齢の母親と50過ぎぐらいの男が住んでいるが、男は無職のようだ。一度、母親がごみ捨てに来た時、夜の音について何とかならないかと聞いてみたが、激しい剣幕で一蹴されたという。しかし、もう5年も続いていて、この頃は、わざと自分にむけてやっているような気がして、怖くなったという。彼女が多少過敏になっていることは認められるが、事実であることも確かと思えた。この程度ならましだが、必ず夜になると奇声を発し壁を叩く隣人や、しきりと天井を棒でつつく音が床から聞こえて困っている上の階の住人。仕事から帰宅後、少し遅い時間に洗濯を始めた途端、同じアパートの住人から、うるさ ………

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