岸田文雄首相の政権運営に綻びが目立ってきた。高い内閣支持率を追い風に新型コロナウイルス感染症対策を徹底するとともに成長と分配の好循環を目指しているが、空回りばかりで株式・外国為替市場で日本売りが進む。内憂外患の複合リスクが集中する3月が剣が峰である。感染力の強いオミクロン型の猛威で1日の感染者数が全国で初めて9万人を超えた2月2日の衆議院予算委員会。大幅に遅れる3回目のワクチン接種に与野党から質問が相次いだ。「1日100万回打つ強い姿勢を示してもらいたい」と菅義偉前政権でコロナ対策を担った西村康稔前経済再生相が迫ったが、首相は「一律に何万人という目標を掲げることが適切かどうか」と言葉を濁した。立憲民主党の長妻昭元厚生労働相の追及にも終始守勢だったが、2月7日になって100万回達成に向けた取組強化の表明に追い込まれた。「山積する課題にスピード感を持って ………