統計の改竄 大罪犯した自覚なき「国交官僚」

政府が統計を軽んじ、国の実態から目を背ける限り、国民もまた政府を信用することはできない。

2022年2月号 DEEP

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昨年のNHKA大河ドラマ「青天を衝け」は、近代資本主義の父、渋沢栄一が主人公だったが、ドラマの中で思わぬ人気を呼んだのが大隈重信だ。最後の将軍・徳川慶喜を支えた渋沢の能力を高く評価し、新政府に引き入れて改革を委ねたのが大隈だった。明治から大正に首相を2度務め、早稲田大学の創立者として知られる大隈は、「統計伯」とも呼ばれた。統計院の創設を政府に建議し、現代に続く国勢調査の名付け親でもある。大隈は欧米列強に伍して近代国家を築くには、国の内情を正確に把握する統計の重要性を誰よりも理解していた。その大隈が知ったら大いに嘆く事態が起きている。国土交通省が所管する「建設工事受注動態統計」をめぐり、建設業者から回収した調査票を改竄していただけでなく、受注が二重に計上されていた重大な不正が発覚した。この統計は国民経済計算にも使われており、日本のGDP(国内総生 ………

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