連載 病める世相の心療内科

高燃費高機能社会の「自家中毒」

2021年12月号 LIFE [病める世相の心療内科(59)]

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秋が過ぎセイタカアワダチソウの季節は終わりになったが、その黄色い花を見るとき、私の頭をよぎるのは地球温暖化のことであった。この植物は雑草と思われがちだが、実際は薬用になり、かなり灰汁が強いが食べられる。明治に日本に観賞用として北米からもたらされ、その後ミツバチ業者が全国にその種をまいたとされているが、日本の山野の景観を一変させたほどに繁殖した。その繁殖力をもたらしたものは、ほかの植物の発芽などを抑制する物質を根や茎から分泌しススキや萩などの日本の野草を駆逐したことによると考えられている。おかげで、日本人の間ではさほど歓迎されていない。ただ、植物学者たちはその繁殖をあまり心配していなかった。ほかの野草の繁殖を抑える物質が、実は自分自身の種子の発芽をも抑えるがゆえに、いずれ自家中毒になり、減少するはずだとの理由からであった。実際、その全盛時 ………

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