「核のゴミ」寿都町長選に透ける窮状

選挙直前でも静かな町。反対運動もおとなしい。町勢低迷が消極的賛成という結果に。

2021年12月号 BUSINESS

  • はてなブックマークに追加

短い夏の観光シーズンが終わり、人口2800人ほどの北海道の小さな町に人影はまばらだった。客のいない「道の駅」から流れてくる不釣り合いにポップな音色が、町の寒々しさを一段と際立たせている。厳しい冬を前にした10月、北海道寿都町に吹く海風は冷たさがひときわ骨身にしみた。

「肌感覚では賛成多数」

現職町長の片岡春雄が昨年8月に突然ぶち上げた、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場選定に向けた文献調査への応募。2007年の高知県東洋町以来、13年ぶりの応募自治体となったことで、北海道の場末の町名は全国に知られることになった。文献調査といっても町での実質的な調査はない。それでも2年間で地域には最大20億円の予算が転がり込むことに片岡は目を付けた。もっとも、「核のごみ」への拒否反応は強く、北海道知事の鈴木直道や周辺町村長は相次いで反対を表明。これまで5選を重ねて ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。