「蕎麦作付増」は農村崩壊のサイン

農業人口減で酪農・畑作から転じる動き加速。再転作難しく、近い将来に耕作放棄の危機。

2021年10月号 LIFE

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8月、北海道東部の酪農地帯を車で走っていると、乳牛のエサとなる草を作る牧草地の一角に、白い蕎麦の花がいっぱいに咲いている土地を頻繁に目にするようになった。10年前ならまず見なかった光景だ。同様の光景はジャガイモ畑や水田が多かった道央エリアでも増えてきている。

他を寄せ付けぬ一大産地

白い花が一面に咲き誇るため、一見、美しく見える蕎麦畑。しかし、今、蕎麦の作付け増は農業関係者から、「道内の農村崩壊の象徴になるだろう」と囁かれるようになっている。北海道の蕎麦の作付面積は拡大が続いている。2020年度は2万5700ヘクタールと、10年前より1万ヘクタール超、67%も増えた。従来の主要産地だけでなく、2000年代にはほとんど生産実績のなかった道東エリアの酪農地帯や道央エリアの畑作地帯でも作付けが急速に増えているのが現在の特徴だ。全国の20年産そばの収穫量に占める道産の割合は43%。「戸隠蕎麦 ………

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