連載 病める世相の心療内科

「コロナ対策」迷走は人類のツケ

2021年9月号 LIFE [病める世相の心療内科(56)]

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新型コロナウイルスの蔓延を抑える有効な手立てはあるのだろうか。ワクチン接種をめぐる対応も、変異ウイルスの出現でさらに複雑化しており、専門家や政治家が様々な意見を出したところで、スムーズにはいかず、事は単純ではない。それは相手が自然だからか。私はそうは思わない。事を複雑にしているのはやはり人間の仕業である。今から40年ほど前、私は保健所に勤務していた。いまのコロナ禍のような忙しさはなかったが、それでも許認可権の広さは行政組織の中では屈指のもので、乳児健診から墓場の認可、飲食店関連、風俗旅館、廃棄物に至るまで、幅広く関与していた。狂犬病予防法による野犬の捕獲もその一つであった。当時すでに狂犬病は日本ではほとんど消滅していたが、やはり飼い犬が野生化して群れて、ニワトリなどを襲うことがあり、捕獲の依頼は結構あった。保健所は年に2度ほど大捕獲作戦を ………

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