「国論二分」東京五輪に天皇の苦衷

五輪が安心・安全であるかのように装う菅政権による天皇の政治利用に「伝家の宝刀」。

2021年8月号 POLITICS

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「第18回近代オリンピアードを祝い、ここにオリンピック東京大会の開会を宣言します」快晴に恵まれた1964年10月10日。約7万4千人が詰め掛けた旧国立競技場(東京・新宿)などに、五輪開会を宣言する昭和天皇の声が響き渡った。オリンピック憲章では、五輪開会式の開会宣言は開催国の国家元首が行うこととされ、外交儀礼上は日本の国家元首にあたる天皇が五輪の名誉総裁を務めるのは慣例だ。前回の東京五輪と72年札幌五輪では昭和天皇が、98年の長野五輪では在位中の上皇がそれぞれ名誉総裁を務めた。今回の東京五輪では、現天皇が務める。開会宣言の文言もオリンピック憲章で開催を祝うことを意味する「近代オリンピアードを祝い」という表現を使うことになっている。しかし、現下の新型コロナウイルスの感染状況は、開催を祝う状況にほど遠い。五輪開催を半月後に控えた7月8日、東京に4度目の緊急事態 ………

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