「韓信の股くぐり」とやらで官邸官僚の道を駆け上がったが、岸田にすり寄り、菅に干し上げられた。
2021年8月号 POLITICS
ひと頃盛んだった「官邸官僚」というフレーズを、とんと耳にしなくなった中、ある高級官僚が霞が関から寂しく退場した。毀誉褒貶の激しいその来し方は、最強官庁と呼ばれた財務省の近年の迷走と軌を一にする。それを振り返りつつ、財務省の変質ぶりの映し絵としたい。
「韓信の股くぐりにも程があるぞ」。政策立案過程の克明な取材で知られる軽部謙介氏の近著『ドキュメント 強権の経済政策』のヤマ場の一つは旧大蔵省OBが現役幹部を面罵したシーン。2019年の年始め、OB懇親会で生じた珍事は財務省内に漏れ伝わり、慌てふためく人あれば、密かに意を強くする向きも。そうした反応自体が、財務官僚としての立ち位置を計る物差しの体をなした。当時主計局長でOBの憤怒の対象となったのは、この7月退官した前財務事務次官・太田充。東大法卒、昭和58年旧大蔵省入省。専ら主計局でキャリアを歩み、予算折 ………
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