美の来歴㉔:失われた〈風景〉を探して

〈故郷喪失者〉東山魁夷と川端康成 その魂の邂逅

2021年8月号 LIFE [美の来歴]

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〈国破れてこのかた一入木枯(ひとしおこがらし)にさらされる僕の骨は、君という支えさえ奪われて、寒天に砕けるようである。君の骨もまた国破れて砕けたものである〉敗戦から2年余りの冬、畏友横光利一の突然の死を悼んで、川端康成は遺影に語りかけた。未完に終わった長編小説『旅愁』で〈西欧〉と向き合いながらついに和解を果たせなかった「同志」の死は、『雪国』で戦時下に日本の風景への郷愁(ノスタルジィ)を手探りしてきた作家の胸底を、激しく揺さぶったのである。〈横光君。僕は日本の山河を魂として君の後を生きてゆく〉残された作家は自らにそう言い聞かせて、日本の失われた美と伝統を戦後という時空に掘り起こし、やがて日本人初のノーベル文学賞を受けた。そして4年後、卒然と自死した。「私は日本古来の悲しみのなかに帰ってゆくばかりである」という戦後の呟(つぶや)きは、この作 ………

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