連載 病める世相の心療内科

災害時代に見直すべき「前近代」の知恵

2021年8月号 LIFE [病める世相の心療内科(55)]

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防災がかまびすしく言われて久しいが、一向に豪雨災害などが減る様子もない。そもそもの防災の考え方に問題があるのではと、私たちはようやく気が付きだしている。阪神大震災の時は、国が事態を把握するのに半日以上かかり、情報の遅れが指摘された。しかし、その反省だけでは足りないことを示したのが東日本大震災だった。当時、私はある海沿いの自治体病院の管理者をしていた。病院には緊急時のため立派な警報装置が設置されていたが、大震災の当日、緊急警報装置は作動しなかった。警報装置は強い振動に耐えうる設計ではなく、その日襲った震度6強の振動によって故障したのである。幸い、建物はひびが入った程度で済んだ。もちろん直ちに、警報装置の修理を命じたが、数日たって起こった震度5強の余震でやはり再び故障し、機能しなかった。有事に役立たぬ警報装置など意味がないが、設置の義務があっ ………

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