「国境を越えた弾圧」 ベラルーシハイジャック

反体制派の誘拐、拘束、暗殺疑惑などが79カ国で608件も。国際社会の緩い対応が強権国家を勢いづかせる。

2021年7月号 POLITICS

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ヨーロッパに亡命しているベラルーシのある反政権活動家は5月23日、ソーシャルメディアでギリシャを訪問中の友人からこんなメッセージを受けた。「複数の男たちに尾行されているみたいだ。彼らは私のパスポートの写真を撮ろうとしたり、ロシア語で話しかけたりしてきた」友人とは、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ政権から「過激派」として指名手配されていた亡命ジャーナリスト、ロマン・プロタセビッチだ。活動家は「ロマンは少し妄想に陥っているのかもしれない」と思ったという。しかし、プロタセビッチの不安は数時間後、前代未聞の事件に発展した。彼が搭乗したアテネ発リトアニア行の旅客機はベラルーシ領空を通過中に同国軍の戦闘機の誘導により首都ミンスクに強制着陸させられた。プロタセビッチと彼の交際相手のロシア人女性は即座に当局に拘束された。ルカシェンコ政権はイスラム ………

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