世は歌につれ⑯

「演歌最終ランナー」吉幾三 哀楽、風景、心すべて津軽

2021年7月号 LIFE [世は歌につれ⑯]

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吉幾三の歌を長い間、たくさん聴いてきた。いろいろな意味で天才だと思う。吉幾三の「酔歌」(ぽつりぽつりと降り出した雨に)をステージで歌っている神野美伽に「彼は天才だろう?」と持ちかけたら、大きく頷いた。作詞も作曲も、そしてもちろん歌手としても、またときにはNHKの大河ドラマ(「青天を衝け」)にまで出る個性的な役者としても。さまざまな収録の場などですれ違ったことはあるが、直接話をしたことはない。しかし、NHKホールの舞台の袖で、本番直前に緊張のあまりかたばこを持つ手が震えていたのを目撃したことがある。おそらく実像はかなりナイーブな人なのだ。*「と・も・子」という歌がある。吉幾三の持つ凄さがすべて現れたのがこの歌だと思っている。前半は「とも子」なる女性の失踪について長い津軽弁の語りが入る。後半が感動的な歌になっている。と・も・子(語り)とも子と二人 ………

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