菅義偉が狙う「五輪前」解散

ワクチン接種や五輪開催の成否は見通せないが、一か八か成功すれば一気に主導権を取り戻せる。

2021年5月号 POLITICS [始まった「ポスト菅」]

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月刊誌「文藝春秋」の「赤坂太郎」といえば長年、第一線の敏腕政治記者たちが匿名・交代で執筆してきた定番の政局リポートである。5月号の書き出しは、菅義偉首相が内閣支持率の上昇に大喜びした光景で始まっていた。〈「ほらみろ!こんな難しい時期に俺以外の誰も総理大臣を務められないということにみんながようやく気づいたんだ」3月8日、(菅は)いつものように午前7時に官邸に入ると、いつになく上機嫌だった。執務室に入るや否や、こう言い放った。しかも自らパチパチと拍手しながら……。身の前のテーブルに広げられていたのは、内閣支持率が2月に比べて9ポイントも上昇した世論調査結果を一面で報じる読売新聞だった。菅は結果を前夜、内々に伝えられていたため、この日は東京・赤坂の議員宿舎を出る時から上気していた。拍手してはしゃぐ最高指導者の姿に秘書官たちは複雑な表情を浮かべた(以下 ………

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