「易きにつかぬ池尾和人」を悼む by 藤井良広

出会いは「デット・オーバーハング」と題した小論文。死の直前までテレワーク。財政審で激論。

2021年5月号 BUSINESS

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慶応大学名誉教授(立正大学教授)の池尾和人氏が亡くなった。ガンだった。68歳になったばかり。筆者を含め、氏を知る多くの人が、天を仰いだと思う。わが国経済はバブルからその崩壊、長期デフレ、財政債務膨張と続く泥沼から、今も抜け出せないでいる。この間、池尾氏は明快な理論に基づく分析と、この長期的な「日本病」への処方箋を、柔らかな京都弁で語る一方、自らも事態を打開するため、政策立案に関わり続けた。その道半ばでの逝去だった。

故蝋山昌一の衣鉢を継ぐ

筆者が氏を知ったのは、氏が京都大学助教授の1993年頃だったと思う。金融専門誌でのコラムが目を引いた。「デット・オーバーハング」と題した小論文。後に日本経済を大きく揺るがす銀行の不良債権問題の深刻さを先取りしていた。「デット・オーバーハング」とは、企業が資産を上回る過剰債務を背負ったため、新規事業の資金調達ができなくなる状態をい ………

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