トヨタ章男は「令和の西郷隆盛」か

ガソリン車を禁止で路頭に迷う550万人が「なんとかしてくれ」と首魁にすがる。

2021年5月号 BUSINESS

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「政府へ尋問の筋これあり」明治10年(1877年)、大久保利通率いる新政府の中に自らの暗殺計画があると聞いた西郷隆盛は、こう宣言して鹿児島から兵を挙げた。日本史上最後の内戦「西南戦争」である。西郷を推したてたのは、家禄を廃止された不満士族たち。西郷自身は当初、新政府と刃を交える気はなかったと言われるが、「ちょんまげに脇差」の時代に取り残された人々のやり場のない怒りを受け止める形で、勝ち目のない戦の先頭に立った。現代の日本の産業界にも「尋問の筋これあり」を唱える人物がいる。日本最強のメーカー、トヨタ自動車の社長、豊田章男氏(64)である。章男氏が政府に「尋問」しているのは菅義偉首相が昨年10月26日の所信表明演説で打ち出した「2050年カーボン・ニュートラル宣言」だ。これまで「2050年までに80%削減を目指す」としてきた温暖化ガスの排出量を一気に「ゼロ」と踏 ………

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