「ジャック・マー」の悲劇

中国共産党にとって巨大プラットフォーム企業は諸刃の剣。金融システムの創造的破壊を唱えた天才経営者の挫折。

2021年4月号 BUSINESS [走火入魔]

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寓話「アリババと40人の盗賊」では、洞窟の前でアリババが「開け、ゴマ」と呪文を唱えると、扉が開いて金銀財宝を手に入れた。中国アリババ・グループのジャック・マー(馬雲)は昨年11月、子会社「アント・グループ」の新規株式上場(IPO)で370億ドルを手にするはずだったが突如延期となり、財宝を手に入れ損なった。直前の10月24日に行われた「上海外灘金融サミット」でのスピーチが原因と言われる。マーはその後雲隠れし、様々な憶測を呼んだが、今年1月20日、88日ぶりに姿を現した。GAFAと並んでBAT(百度、アリババ、テンセント)と持て囃された巨大ネット企業の総帥はいま、逆風にさらされている。

10億人の個人情報を握るモンスター

アント・グループはECサイト「陶宝網」や「天猫網」を運営するアリババ・グループから、決済機能を切り出して独立した企業だ。決済アプリ「アリペイ(支付宝)」や「健康コード」、信用スコアの ………

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