美の来歴㉒:寂しいアメリカの肖像

孤高の画家ワイエスが秘したモデル〈ヘルガ〉

2021年4月号 LIFE [美の来歴]

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1986年8月、米国ペンシルベニア州の美術蒐集家、レナード・アンドリューズがアンドリュー・ワイエスの未公開の作品240点を購入して公表すると、米国のジャーナリズムはその評価を巡って騒然となった。『USA TODAY』紙は特集を組み、「彼の絵が大騒ぎされるのは、牧歌的でセンチメンタルな過去を描いて郷愁を誘うからだ。実際にそんな過去はなかったのに」というコメントの一方で、「ワイエスはアメリカ屈指の傑出した画家であり、彼ほど誤解されてきた画家はいない」という擁護論を繰り広げた。*反響が沸騰するのは必然であったろう。「ヘルガ」というタイトルで新たに公表された240点はすべて、画家が過去15年間にわたって隣人の人妻をモデルに描いてきたもので、作品の存在は画家の家族にも長らく秘匿されてきた、というのである。ヘルガ・テストーフはドイツ生まれの移民で、フィラデルフィア近郊 ………

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