世は歌につれ⑬

船村演歌の寄る辺は「母」

2021年1月号 LIFE [世は歌につれ⑬]

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私がキャスターを務めていたTV報道番組にどうしても出てもらいたくて頼んだのが作曲家船村徹である。8年ほど前のことで、厚かましくもギターでの弾き語りをお願いした。5千曲も書いている巨匠は私にこう言った。私の曲で一番好きなのは? それを歌うよ。「都の雨に」です。私の顔をじっと見て、よしっと言った。故里を 想いださせて降りしきる 雨は絹糸帰ろうと おもいながらもいたずらに 時を見送り待つ母に わびる明け暮れ(作詞吉田旺、歌ちあきなおみ)弾き語りは素晴らしかった。歌は言葉を通して心を伝える仕事、そう考えている私の理想通りの歌だった。うまく歌い過ぎるとかえって伝わらないことってありますよね、君の言う通りだ、そんな会話をした。でも船村先生! 気持ちが変わりました。一番心揺さぶられ大好きな歌がありました。岐阜県の笠松女子刑務所で300人の女囚の前で弾き語り ………

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