米中「ワクチン覇権」は魔物

ワクチン開発は利権で動く。ひとたび承認されれば毎年数千億円単位の売上が約束される。極めて拙速かつ乱暴だ。

2020年10月号 BUSINESS [鎬を削る「176候補」]

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ワクチンの有効性を語る上で、社会に衝撃を与えたのが「前橋レポート」である。かつてインフルエンザは子供から高齢者に広がると考えられていたことから、1962年、小学校での「集団接種」が始まった。「学童防波堤論」である。72年にはワクチン製造の高度化が進んだものの、時折現れる重篤な副作用をきっかけに、ワクチンの有効性を巡って議論が巻き起こった。群馬県前橋市の医師会は79年、接種した児童としなかった児童の罹患率を調べたところ、有意な差がなかったことからインフルエンザワクチンには「効果がない」との判断を下した。「健康学童への集団強制接種によって、社会をインフルエンザから防衛するという、我国独自のポリシーには、多くの疑問がある。明確な根拠を欠くまま、従来のやり方に固執するのは賢明ではあるまい」――。87年に出された「前橋レポート」はその後、診断方法や統計の扱い ………

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