現金「もぬけの殻」独ワイヤーカード

信用の源泉である手元資金2300億円は存在せず、「フィンテックの雄」は張りぼてだった。監査法人E&Yは3年間、銀行口座を確認していなかった。

2020年9月号 BUSINESS [会計スキャン]

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6月23日、ワイヤーカードのマークス・ブラウン前CEOがドイツ検察当局に逮捕され、ワイヤーカードは、同月25日に破産手続きの開始を申請して経営破綻した。ワイヤーカードをめぐっては、2019年1月以降、英紙フィナンシャル・タイムズが不正会計疑惑を報道しており、その中での逮捕劇となった。ただし、ドイツには日本のような人質司法はないので、マークス・ブラウン前CEOは500万ユーロ(約6億円)の保釈金を積んで即日保釈されている。ワイヤーカードは欧州を代表する国際企業であり、旧来型製造業主力のドイツ経済にあって期待のフィンテック企業であった。ワイヤーカードは、伝統的なPOSやカード発行業務からモバイル決済やフィンテック分野などに拡大し、200カ国以上の国際決済と100通貨以上の外国為替に対応していた。顧客は、商品あるいは役務の購入に際して、簡単かつ安全な即時決済を求めており ………

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