人材が集まらないJICの理念は看板倒れ。政府の言いなりの「御用ファンド」に堕しかねない。
2020年8月号 DEEP
官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)が再出発した。設立から2年近くが経ち、漸く実行部隊となるファンドを作り、投資を本格化する。1号ファンド「JICベンチャー・グロース・インベストメンツ」が1200億円の公的資金を振り向けるのはロボテックスや人工知能(AI)など成長産業のベンチャー企業となる。とはいえ、コロナ禍で景気悪化が懸念される中、「雇用維持」を叫ぶ安倍政権がゾンビ企業の救済を迫るのは目に見えている。JICが掲げる理念は看板倒れ、政府の言いなりの「御用ファンド」に堕しかねない。そもそもJICと聞いて、何の略称かわかる人がどれぐらいいるのか。リーマン危機直後に「産業競争力強化」を謳って設置された官民ファンド、産業革新機構(INCJ)の後継組織と説明すればわかるだろうか。INCJは「日の丸半導体」ルネサスエレクトロニクスと「日の丸液晶」ジャパンディスプレイの再編 ………
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