肝いり買収で躓いた「丸紅」

新社長の目玉買収案件にムーディーズが疑義。責任を巡り経営陣がざわついている。

2020年2月号 BUSINESS

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「最近、何を言っても矢部が聞く耳を持たない」と丸紅幹部はぼやく。矢部とは丸紅のCFO(最高財務責任者)である矢部延弘で、投融資委員会の委員長も務める。幹部が嘆くのは投資案件を委員会で諮っても、まず通らないからだ。

「エアキャッスルは連結対象」

投資案件がほとんど通らなくなっている主因は、米航空機リース会社エアキャッスルの買収を決めたことにある。丸紅は2019年11月7日、みずほフィナンシャルグループ(FG)系のみずほリースと共同で、20年6月までにエアキャッスルを買収すると発表した。04年に設立された同社の株式を丸紅は28.8%保有する。既存株主から残りの株を買い取る方針で、総投資額は約1900億円。このうち丸紅の投資額は約1200億円で、残りをみずほリースが拠出するというスキームだ。これが丸紅にとっていかに肝入りの案件だったかは、いくつかの傍証がある。発表当日に開かれた決算説明会で、社長の柿 ………

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