富士通「島根工場」はなぜ生き残ったか

顧客の要求に応えた「一点物」を素早く作る。出雲の田舎工場のあっぱれな「いいとこ取り」戦略。

2020年1月号 BUSINESS

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日本のパソコン国内出荷は2005年の1273万台をピークに減り続け、18年度は約740万台にとどまった。日本のものづくりの衰退を象徴するこの市場で、しぶとく生き延びている工場がある。18年に中国・レノボ・グループの傘下に入った富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の島根工場だ。今年9月には、05年以来、14年ぶりに月産30万台を超え過去最高を記録した。レノボがFCCL株式の51%を取得し、子会社化したのは18年。FCCLは日本政策投資銀行からも5%の出資を受け、富士通の持ち株比率は44%になった。05年に米IBMのパソコン事業を買収したレノボの年間販売台数は6千万台を超える。FCCLは400万台に満たず、規模では勝負にならない。当初は「設計は日本に残っても、生産はいずれ中国に移管される」との見方が大勢を占めた。我が国のパソコンメーカーでは「日本で設計、台湾で基板を作り、組み立ては ………

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