過労死事件でパンドラの箱が開き、「同時同額標準料率システム」と呼ばれる独特の高収益構造に亀裂が生じた。
2019年12月号 BUSINESS [会計スキャン]
電通の株価がさえない。電通は、日本のメディアに対する圧倒的支配力により長く高い収益性を謳歌してきたが、その株価は、2015年8月に7290円の高値を付けた後、現在の4000円台までほぼ一貫して下げ続けている。現在の株価は直近の高値の半値近い。電通の収益基盤に何かが起きている。電通メディア帝国に進行する構造的異変を財務分析により解析する。電通の財務諸表の最大の特徴は、国際会計基準による「のれん」と無形資産の資産計上にある。会社の18年12月期における連結総資産額は3兆6385億円であるが、この中には「のれん」7869億円と無形資産2499億円が含まれている。他にも繰延税金資産が271億円あるので、疑似資産は合計1兆639億円(=7869億円+2499億円+271億円)ということになる。なんと、電通の疑似資産は、同期末における連結株主資本持分1兆476億円を上回る規模なのである。
「のれん ………
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