米中貿易戦争をきっかけに抑圧された不満が露呈。長期独裁体制の足下は盤石ではない。
2018年9月号 GLOBAL
今年7月、中国の最高指導者の習近平(国家主席兼共産党総書記)は思いがけない逆風に見舞われた。習は3月の全国人民代表大会で憲法を改正し、国家主席の任期制限(2期10年)の廃止に成功した。長期独裁体制をさらに盤石にすべく、文化大革命期の毛沢東を彷彿させる個人崇拝色が濃厚なプロパガンダを推進。反対の声は皆無に見えた。ところが突然、習に異を唱えるかのような不穏な動きが次々に噴出したのである。
発端は7月4日、一人の若い女性が上海市の街頭の宣伝看板に描かれた習近平の肖像画に墨汁を撒き、その様子をツイッターでライブ中継したことだった。この動画はネット上でまたたく間に拡散。中国各地で習の肖像画に墨汁や汚物をかける“事件”が相次ぎ、一部の都市では監視カメラがない場所にある肖像画の撤去を地元当局が命じる騒ぎになった。その直後から、中南海の異変を匂わせる出所不明の ………
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