安倍に株高継続を期待され続投が決まった黒田に早くも試練。金融緩和の微調整を棚上げし、改めてリフレ派の装いに。
2018年3月号 BUSINESS [出口政策など見果てぬ夢]
金融関係者の間では「戌年は笑う」はずだったのに、という自嘲の声が聞かれる。年末の日経平均株価は3万円。ニューヨーク・ダウは3万ドル。そんな予想が闊歩していたのに、2月中旬時点の話題は「調整」か「本格下落の始まり」かである。米国株の変調に、2期目の続投が固まった黒田東彦総裁の率いる日銀も、いよいよ金融緩和からの出口が遠くなる。株式市場の楽観が終わったのは2月2日。この日発表された1月の米雇用統計で、平均時給が前年比2.9%の伸びを記録したからだ。市場の予想は2.3%の伸び。思わぬ時給の増加に、市場参加者は忌み言葉を思い出した。インフレである。年初から売りが先行していた債券市場で、まず雪崩が起きた。指標となる10年物米国債の利回りは2.8%台に上昇した。債券王の異名をとるビル・グロス氏が節目としていた2.6%をはるかに上回り、利回りは3%をうかがう勢いとなった。 ………
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