人気ブランド「WEGO」がナゾの身売り

2017年11月号 BUSINESS

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「WEGO」(ウィゴー)といえば若者に大人気のカジュアルファッションブランドで、アルバイト店員としてタレントの「ぺこ&りゅうちぇる」が出会ったというエピソードは有名だ。原宿を歩けば、ロゴ入りの買い物袋を下げた何人もの女の子たちとすれ違うだろう。故・大橋巨泉の付き人のようなことをしていた中澤征史氏(49)が1994年にはじめた大阪・アメリカ村の古着店が旋風を起こし、いまや全国160店舗、年商360億円の一大勢力に台頭してきた。

ところが今年8月、突然のオーナーチェンジがあり、中澤社長を含む大半の取締役が一斉に辞任する事態となったため、関係者が情報収集に追われている。

新社長に就任した福吉直也氏が「3年後の上場に向けて信用力のある会社にバックについてもらった」などと取引先への挨拶回りを始めているが、中澤氏から株式を買い取ったのはオーチャードコーポレーションという、銀座のレンタルオフィスに本社を置く小さな投資会社。「なにかと問題のあるピクセルカンパニーズの子会社を最近買収しており、背景がよくわからない」と、取引行関係者は明かす。

M&A業界大手もオーチャードについて「何でもありの投資スタンスで、危ないから関わらないようにしている」という。実際、オーチャードは4月に別のアパレル会社も買収しているが、「社長に就任したのは、脱税指南役として知られる原宿界隈の帝王だった。うちは以前痛い目に遭わされたことがあり、すぐに手を引いた」と、総合商社の審査マンは話す。

今回、ウィゴーの経営を託された福吉氏は「業界では全くの無名。経営していた小さなアパレル会社を破産させた過去があり、現在はLED照明器具の販売会社の代表だが、その会社も営業実態がはっきりしない」(信用調査会社)という。

繊維商社の審査マンは「ウィゴーの業績好調を背景に、営業部門からは取引の増枠申請が上がってきていたが、役員に傷害事件で兵庫県警暴力団対策課に逮捕されたことのある人物がいたため、何か落とし穴がありそうだと思っていた」と、不安を隠さない。

こうした周囲の動揺をよそに本稿執筆時も、ホームページ上では中澤氏が社長として掲載されたまま。「会社の株式を譲渡後も銀行借り入れの個人保証が抜けないことに気付いて、仕方なくまだ残っているのではないか」と見る向きもあるが、中澤氏をよく知る人物は「今も中澤氏が実権を握っていることの証」だとし、次のように読み解く。

「会社の図体が大きくなっても中澤氏の意識は個人商店のまま。公私の区別もなく、逮捕歴のある人物の取締役就任について、周囲が諌めても『大事な友人だから』と意に介さない。中澤氏の暴走を金庫番として食い止めてきたのが銀行出身の北方靖人取締役で、その北方氏らが銀行に相談して中澤氏の追放を図ったが、その動きを察知した中澤氏がオーチャードと組んで北方氏らを返り討ちにした、というのが真相だろう。福吉氏に経営能力はなく、中澤氏はほとぼりが冷めるのを見計らって株を買い戻して復帰するはず」

いずれにせよファッションで成功する人物は、流行は読めても自分勝手な経営オンチで長続きしないもの。目下のウィゴーの混乱もその一例だろう。

   

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