2017年9月号 連載 [いまここにある毒]
影を畏(おそ)れ迹(あと)を悪(にく)む。『荘子』雑篇にそんな故事があった。自分の影に怯え、逃れようと走り出したが、走れば走るほど影が離れず、ついに力尽きて死んでしまう(疾走不休、絶力而死)。支持率底入れを狙う内閣改造、10年前のトラウマが「影」を落とす。二度と惨めな大腸炎退陣を繰り返すまいと、「反安倍」の芽を摘み、包囲と遮断を最優先した結果、政権の支柱である麻生太郎と二階俊博に煮え湯を飲ませた。麻生は歯軋りしたという。露骨な岸田派優遇は「大宏池会」分断策だし、一本釣りされた河野太郎の外相抜擢にも不快を隠さない。甘利明を党役員で復権させる進言は袖にされ、義弟ながら靡(なび)かない一徹者、鈴木俊一の五輪担当も、菅義偉官房長官の入れ知恵と察している。二階も大臣待機組を多数抱えながら、江崎鉄磨一人。早々と安倍三選を支持した見返りがなく、都議選敗 ………
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