アキバで呪わば穴二つ

2017年8月号 連載 [いまここにある毒]

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都議選投票前日の秋葉原で「辞めろ」コールを浴びた安倍晋三首相が、怒気あらわに「中傷しても何も生まれない。こんな人たちに私たちは負けるわけにいかない」と声を張り上げた。政治は友と敵を峻別してはじめて成立する。ナチス法学の支柱となった故カール・シュミットの至言だが、「こんな人たち」と「私たち」を截然と分ければ、たちまち敵味方は入れ代わり、どっちもどっちで相対化されてしまう。国会では首相自ら野次の常習犯、官房長官は都知事や前文科事務次官を人格攻撃してマスメディアを印象操作した。それを忘れて「中傷しても何も生まれない」とは、まさに人を呪わば穴二つ。どちらがvox populi(民の声)だったかは、自民の歴史的惨敗で明らかだろう。映画にもなったドイツのベストセラー『パフューム』を思いだす。たぐい稀な嗅覚を持ち、匂いに魅せられた男が、至高の香水を調合しようと ………

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