2017年7月号 連載 [いまここにある毒]
6月3日夜、ロンドン橋からテロ直後の生々しいスマホ動画が飛び込んできた。3人組がワゴンで突進、わずか8分で8人を殺害、48人が負傷する大惨事を起こして射殺された。ウェストミンスター橋、マンチェスターに続き3カ月に三度。ソフトターゲット狙いにメイ首相が「もうたくさん」と吠えたが、5日後の総選挙は過半数を割りこむ大誤算となった。「ロンドン橋が落ちる、落ちる」というマザーグースの詞が耳をよぎる。関所遊びに似て、鬼2人が“橋”になって下を円陣の子がくぐり、一聯ごとにMy fair ladyと意味不明のリフレインで、最後に橋が落ちて誰かが捕まるのだ。このレディーは誰か。人柱とか、女王とか古来、考証家たちがかまびすしい。今ならブレグジット交渉を控え総選挙で大勝負をかけた女首相だろう。しかし木と粘土、煉瓦とモルタル、鋼と鉄……と橋をいくら架け替えても落ちる空しさは、賽の河原の ………
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