金融機関は英国脱出へ「崖っぷち」

「トランプすり寄り」で低税率競争の脅しをかけるが、長丁場の交渉にしびれが切れそう。

2017年3月号 GLOBAL

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「いくら予め綿密に作戦計画を立てても、実際に敵に遭遇すれば計画は必ず変わる」。19世紀ドイツの軍人、フォン・モルトケ将軍の含蓄ある名言だが、英国のテリーザ・メイ首相にとっては耳に痛い言葉だったに違いない。メイ首相は1月17日、欧州連合(EU)離脱への戦略の基本方針をようやく明らかにしたが、説明を求める与野党からの声に押され、初っ端から方針転換を余儀なくされて、離脱戦略を正式に白書として公表した。英政府にとって「敵」にあたるのは、EUから離脱したくなかった国内の48%の有権者、国外の敵はおそらくつい最近まで我々の親友だったEUの27カ国を意味するのだろう。いまや国内の敵は首相の戦略を叩き壊そうとしている。

いいとこ取り許さぬEU

最高裁判所は8対3で、メイ首相が「国王大権」(中世の国王が独占した神聖な権利を意味する遺物)を使ってリスボン条約50条を発動させ、EU離脱の意志を通告する ………

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