病める世相の心療内科②課長の心の底に巣くう「鬼」

2017年3月号 LIFE

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都心から少し離れた街中に心療医院を開いている。心療医院とは、精神医学的手法によりストレスなどによって心身が不調となった人の治療に当たる場所だが、その範疇に収まらない様々な人々がやって来ることは、前回述べた。例えば、ある日1枚のハガキが届く。「最近になって私の中で、もう一人の私の声を感じるようになった。もう一人の人物は流血や破壊にあこがれ、日に日にそれは、強力な想念となっている。日中は、その思いをどうにか抑えられるが、夜、強い思いとなって、実際の行動に駆り立てようとしてくる。どうしたらよいか」という内容である。似たような便りを、何らかの精神的問題を抱える人々から受け取ることは、精神科医にとって珍しいことではない。が、その送り主が42歳の、実際に働いている、一部上場のIT関連会社の課長であることに暗然とする。妻と2人の子どもがおり、一戸建てに住み ………

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