医師免許を持つキャリア官僚に医療政策を任せたら、独居老人の孤独死が続発する。
2016年12月号 LIFE
10月30日、某テレビ局の討論番組に出演した。テーマは終末期医療。田村憲久・前厚労大臣も出演、侃々諤々の議論をした。番組を見た複数の医師から「田村氏の言い分は酷かった」との感想が相次いだ。彼が「日本の医療の問題は医師・看護師の絶対数の不足ではなく、遍在である」と主張したからだ。これは医療現場の実感と異なる。医師数に地域差はあるが、医師が余っている地域などない。東京の都心ですら、職にあぶれる医師はいない。現場は、平均残業時間が月80時間を超える若手医師の過重労働によって支えられている。問題の本質は、偏在でなく絶対数の不足である。田村氏には、このような現場の声が届いていない。厚労省官僚の従来からの主張を真に受け、そのまま述べていたのだ。
厚労省には、医療政策に従事する専門家集団がいる。医系技官と呼ばれる、医師免許を持つキャリア官僚だ。その数は約2 ………
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