「大口病院」捜査の容疑者

注射針の扱いに慣れている手口などから犯人の目星はついているが、杜撰極まる管理体制が立証を困難にしている。

2016年12月号 LIFE [「アリバイ」との戦い]

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横浜市神奈川区の大口病院(85床)で9月、入院患者が消毒剤「ヂアミトール」を点滴に混入され、少なくとも2人が死亡した事件は内部関係者の犯行とみられたため、当初はスピード解決かと思われた。ところが、一連の報道通り立証が困難で、警察はなかなか逮捕に踏み切れずにいる。毒物混入事件の立証が難しいことは経験的に分かっている。近年では1998年の和歌山毒カレー事件の例がある。地域の夏祭りで出されたカレーにヒ素が混入され4人が死亡、63人が重軽症を負った事件で、警察は女を数カ月後に逮捕したが、2009年に最高裁が上告を棄却し、死刑が確定するまで10年を要した。この事件では、被告宅からヒ素が見つかったこと、被告の毛髪から通常ではあり得ない濃度のヒ素が検出されたこと、多くの目撃証拠から事件当時、カレー鍋に近づけたのは被告だけだったことなど、間接証拠を積み上げて立証を試み ………

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