ノベンバー・サプライズの悲劇

2016年12月号 連載 [いまここにある毒]

  • はてなブックマークに追加

「オクトーバー・サプライズ」とは、米大統領選直前の10月に驚天動地の事件が起き、選挙を決定づけるジンクスのことだ。今回はヒラリーの私用メール再捜査だろう。司法省の反対を押し切ったFBI長官の“英断”が、8日間で刑事訴追見送りに舞い戻ったのには呆れた。ところが、11月に本物のサプライズが待っていた。直前の世論調査のほとんどを裏切って、メディアの憎まれっ子トランプが勝ち、上下院とも共和党が過半数を守る完勝だった。トランプをボロクソにこきおろしていた高級誌ニューヨーカーの記事は「アメリカの悲劇」。セオドア・ドライサーの社会派小説のもじりである。成り上がりの貧しい青年の破滅物語だが、トランプは鼻持ちならない金満家。むしろ貧困ゆえに常軌を逸したのは、彼に投票した白人低中所得層だろう。人格識見ともに劣悪でも、格差社会を吹っ飛ばす必要悪と見たらしい。パンドラの ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。