10年後の首相を目指す注目株は、対ロ交渉を成功裏に導くことに専心。ハードルは高い。
2016年10月号 POLITICS
「影の総理」と揶揄される官房長官の菅義偉(67)は、内閣改造を終えた数日後、経産省幹部を前に、いたく上機嫌だった。「世耕はいいだろう? 大した政治家だからな。君らの役所と相性がいいはずだ……」菅が笑みをたたえながら褒めちぎったのは、8月3日の改造人事で経産相を射止めた世耕弘成(53)だった。初入閣を果たしたばかりか、「ロシア交渉がライフワーク」と宣(のたま)う世耕にとって「ロシア経済分野協力担当相」の要職が加わり、笑いが止まらないに違いない。特定の国の、特定の分野を担当する大臣を置くのは異例も異例――。「北方領土返還」で歴史に名を刻もうと躍起の首相、安倍晋三の意を体した特命相だから天に昇る心地だろう。経産相兼対ロ経済協力相のポストがよほど気に入ったか、訪れる幹部らに「毎日が充実しており、楽しくてしょうがない」と、童顔をほころばせるほどだ。
世耕 ………
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